1.前脚の膝を突っ張ってはいけない

下半身の力が使えなくなるからだそうです。人間の想像力は素晴らしいですね。




みんなMax95mphオーバーの投手です。彼らは良いボールを投げる為に、結果としてこうなっているので、そこだけを修正することは不可能です。膝が突っ張っている、という指導者からのクレームを解決するにはその投手のメカニズムをガラッと変える必要があります。

これらの写真を見せたら98%の指導者は「前脚の膝の突っ張りがなくなればもっと良くなる」と言います。そして無理やりフォームを矯正され、悲惨なことになります。投げ方がわからなくなった、と言い始めます。嘘だと思うかもしれませんが、こういうことは割とよく聞く話です。
なので17歳以上で前脚の膝を突っ張って投げている投手は、それだけである程度は良い投手だという予想が出来ます。なぜならその年まで前脚の膝を矯正されない投手というのは、その投げ方のままでも指導者に何も言わせない様な結果を出しているからです。例外もたまにいますが。

ここまで書いておいてなんですが、私は膝を突っ張ることが最良とは思ってません。膝を突っ張れば筋力をさほど使わずに運動エネルギーをブロックできるので効率は良いと思いますが、筋力がある人はやや膝が曲がってても勢いを止められますし、臀部のストレッチも増すので、やや曲がってるくらいが丁度良いかな、というスタンスです。


2.開きが早い



開き早くないですか?
でもそれでも良いんです。開いたところから力を発揮する投手もいるので、それを矯正しようとするとまたおかしなことになります。
開きながら並進運動を行うと力をロスしている、という指摘は一見正しいようですが、慣性の法則に従うと、骨盤を開きながら並進運動を行った方が、その後に急激に回転しやすいことは明白です。だからと言って、開きながら並進運動をすることを意識すれば良い、ということにはなりません。閉じたまま並進運動を行う(俗に言う隠し)ことを意識して上手くいってる投手はそのままで良いんです。意識してることと実際にやってることが全然違うというのはよくあることなので、その意識で上手くいってるならいじる必要は全くありません。


3.肘を両肩のラインより後ろに入れない

これ、言われたことがある人は意外と多いと思います。ラインより背中側に肘が入ると肩を壊すらしいです。これを信じている人は、変な新興宗教のことを笑う権利はありません。


100mphクラブの彼らの肩は健在です。

 この現象は肘が両肩のラインより背中側に入ってしまうこと自体が問題なのではなく、内旋がキツい状態で、背中側に入り過ぎることに問題があります。その状態で背中側に肘が入り過ぎると、確かに肩関節のインピンジメントのリスクが増します。なのでテイクバックでの内旋を取り除いてあげたくなるところですが、それはまだ早いです。なぜなら、内旋のキツい彼はインピンジメントのリスクを背負った現在の投げ方でないと強い球が投げられないかもしれません。内旋を取り除いて肩のストレスはなくなったけど球は遅くなりました、では本末転倒です。肩に負担がかかることがわかっているのなら、それを軽減する様なトレーニングで肩を強化する、というのも考え方の一つです。もちろん、内旋を取り除いて強い球が投げられるのならそのプランで行くべきですが、内旋がキツいからといってそれをただ単に矯正するのは考えものです。


4.クロスステップ(インステップ)は良くない

これにはもう本当にうんざりです。私も高校時代以外はよく言われました。指導者の97%はクロスステップ=修正すべき、と思っています。
もういい加減気付いて欲しいです。投球スピードが上がるにつれて、クロスステップをする投手は増えていくということに。ほとんどの投手のPBが130km/h台の高校野球では、クロスステップする投手はあまりいません。そこからレベルが上がり、150km/hを超えるPBを持つ投手たちを見てみるとクロスステップする投手の割合は3〜4割くらいに増えます。さらに球速帯が上がり、PBが100mphに近づいてくるとクロスステップをしていない投手の方が珍しくなってきます。
彼らはPB100mph以上の投手のほんの一部ですが、がっつりクロスステップしてます。


上は現代の日本球界では珠玉のクロスステップをしている藤浪投手ですが、案の定、去年のキャンプで傲慢で無知な指導者陣に矯正を指示されました。


もうこれはイジメです。投手虐待です。こういうことをやってる時、コーチはさぞご満悦でしょう。こういうシーンは仕事してる感が一番出ますから。ただ、藤浪投手は頭が良いので、おそらくコーチ陣の前ではデモンストレーション用のフォームでスクエアステップを演じることでメカニズムを守り通したのだと思います。結果も出している投手ですし、そこまでしつこくは言われなかったのかもしれません。今年も藤浪投手はしっかりクロスステップしていたので安心しました。


デモンストレーション中の藤浪投手

割り切った表情をしています。