2015年10月

CB 30球

CB 20球 20m

肘の違和感少しあり
強く投げると円回内筋あたりの張り

身体組成や身体能力を変えずにそのままの身体で球速を上げるには、並進運動を変える(速くする)しかありません。

筋量が多くなくても速い球を投げることが出来ている投手は、並進運動のスピードを有効に使っています。その最たる例が、私がよく例に出す浅尾投手や佐藤達也投手です。高校時代の寺原投手もそれに当たります。メジャーではJacob Degromeがこのタイプに当たります。彼らはプロ野球の投手としては細身ですが、並外れた並進運動の速さで多くのエネルギーを用意し、それを上手く末端に転移させているので155km/h以上のボールを投げることが出来るのだと思います。(毎年コンスタントに速い球を投げられるかどうかはまた別の問題だと思いますが)







彼らの投げ方に共通する事は、軸脚で立って着地脚の膝が頂点に達してから、並進運動の始まりと同時に「頭の位置が急に落ちる」という事です。寺原投手の映像が1番分かりやすいと思います。

実際に検証した訳ではないので本当の所は分かりませんが、彼らの「速い並進を行いたい!」という本能が並進運動の軌道をサイクロイド曲線に近付けようとするから、急に重心が落ちる様に見えるのではないでしょうか。



一方、並進運動が速い浅尾投手や佐藤達投手とは正反対の存在として、C.C.SabathiaやKenley Jansen、Chris Archer、Nate Pearson、Mauricio Cabreraなど、日本人では藤浪晋太郎投手や大谷翔平投手らがいます。彼らは高い身長と重い質量を持っているので、並進運動はさほど速くなくても大きいエネルギーを用意出来ます。これまで様々な投手を見てきた感じでは、身長が高く体重が重い投手ほど並進運動は遅くなる傾向にあるので、そういう投手は並進運動を速くすることが難しいのかもしれません。






少し話が逸れますが、大抵の投手は並進運動では軸足はプレートに置いた(かけた)ままただ骨盤を投球方向に移動させるだけですが、稀に骨盤を投球方向に移動するだけでは飽き足らず、軸足でプレートを押し込んでステップ幅を広げる様に並進を行う投手がいます(何というか本来なら着地すべきところで着地しない感じ)。例としてはTim LincecumやJordan Walden、Joel Zumayaなどがそうです。このタイプの並進を最大限大げさにやると、一時期話題になったCarter Cappsの投げ方になります。(最早2段ステップですが)日本ではあまりこの投げ方は見かけませんが、三嶋一輝投手はこの投げ方に分類されると思います。











このタイプの並進を行う投手は皆、本格派で150km/h以上のPBを持っていることが多いです。

これは仮説でしかありませんが、この並進タイプでは軸足でプレートを押し込み骨盤だけでなく身体全体を投球方向に移動させるので、普通の並進よりも大きいエネルギーを生み出せるのではないかと思っています。

かなり昔の話ですが、この仮説を思いついた時、当時好きだったJoel ZumayaやTim Lincecumを参考に、彼らの並進運動様式の模倣を試みて球速がどうなるか実験しました。その結果はどうなったかというと、失敗でした。いやむしろ失敗というよりも実験が成立しませんでした。これはどういうことかというと、軸足を押し込んでステップ幅を広げよう、なんていう特殊な投げ方は、その特殊な動きを積み重ねてきた特殊な投手にしか許されない投げ方であり、一朝一夕に真似しようとしても出来なかったということです。もちろん軽く投げるのなら簡単ですが、マウンドから本気で投げようとすると、どうしてもこれまでの運動回路を使って投げてしまうのです。ゴールデンエイジ(この言葉の使い方、本当は間違ってるらしいけど)を過ぎた選手の運動回路を書き換えるには相当な時間と手間を要するのだと実感しました。

Tim Lincecumの幼少期の映像を大分前に見たことがありますが、 ほぼ現在と同じ投げ方をしていました。小さい頃パパに教わったフォームを大人になってもずっと続けているLincecumは健気ですね。

Carter Cappsは別として、(彼は多分確信犯)おそらく軸足でプレートを押す並進タイプを採用している投手達は、この動きをやろうと思ってやったのではなく、速い球、良い球を投げる為に動きを追求していたら(追求すらしていないかも)自然にこうなったものと思われます。その証拠になるかは微妙ですが、私はこれまで「並進運動時は軸足でプレートを押し込んでステップ幅を広げて大きなエネルギーを用意しましょう」なんて教える指導者には1回も出会ったこともなければそんな事が書いてある教本にも出会ったことがありません。物理学に精通していたLincecumのパパならそこまで教えたかも分かりませんが。


という訳で現段階では、自分の中で並進運動のタイプは大きく4つに分類しています。

1.落下型 (高速並進)
浅尾拓也 佐藤達也 J.Degrome 佐藤由規 松坂大輔(高校、NPB時代) 寺原隼人 菊池雄星 など 

2.平行移動型(高〜中速並進)
前田健太  J.Verlander など

3.平行移動型(低速並進)
杉内俊哉 K.Jansen M.Cabrera など

4.平行移動型 (軸脚押し込み型)
C.Capps 三嶋一輝 T. Lincecum など

ただ、105mphを出して話題になったJordan Hicksについては、一見頭の位置は急に落ちるし並進もめちゃくちゃ速いので落下型の様にも見えるし、前に進んでいく勢いが凄いので高速の平行移動型にも見えるといった点でニュータイプの並進運動様式かな、と現時点では思ってます。(もしかしたらこの様式が速い球を投げるには最高の形なのかも知れない)



色々書きましたが、2.と3.については完全に主観なので人それぞれ当てはめる投手は変わってくると思います。

速い並進運動は、確かに速い球を投げるのに有利だとは思いますが、速い球を投げる為には絶対に1か4を採用しなくてはいけない訳では決してありません。自分に合ってない並進運動を採用しても、恐らく球速には生きてこないと思います。(過去に私が経験した様に)

並進運動の速さや様式は、自分の身長や体格、理想の投手像などによって変わってくるので自分に合った並進運動の様式を見つけることが何よりも重要だと思います。

Workout
High Pull
Back Jerk

肘やや腫れあり
やや屈曲制限あり

CB 25球 40m

肘の調子が良い
腫れ少ない
肩良く回る

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